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こころのつづき [books]

これも、亡き人の存在感が強い。

こころのつづき(森浩美 角川文庫)

こころのつづき (角川文庫)

こころのつづき (角川文庫)

  • 作者: 森 浩美
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/12/25
  • メディア: 文庫


「野生時代」と「本の旅人」に連載された8話の短編集。
それぞれ少しずつ何らかの繋がりがあるらしいが、相互関係はない。

一話目『ひかりのひみつ』
結婚を機に、母親から死んだと聞かされていた実の父に会いに行く娘の話。
母の再婚相手の義父が気に入らず、もやもやしている。
話を聞き、母親は男の将来を思って身を引いていたことがわかる。
娘は名を明かさず、軽井沢でホテル社長になっている男と式の予行演習をする。

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レモンタルト [books]

暑い時は酸っぱいものでさっぱりしたい。
柑橘類は加工せず、生そのままがいいけれど。

レモンタルト(長野まゆみ 講談社)

レモンタルト

レモンタルト

  • 作者: 長野 まゆみ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/10/27
  • メディア: 単行本


青少年の話を書く作家という勝手なイメージがあったのを覆された。
初出は小説現代の連作短編。
姉夫婦が建てた二世帯住宅に住んでいる二十代の男が主人公。
姉は若く亡くなり、三十代前半の義兄は再婚もせずそのまま暮らしている。

美形で不愛想だが優しい義兄を、主人公は随分前から好いている。
亡き父を求めての甘えや、人としての敬いもあるが、
単純に恋い慕う気持ちもあるらしいと、だんだんわかってくる。
そうして、どうやら全体に同性愛者たちの頻出する話だと気付く。


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建てて、いい? [books]

集合住宅の次は、一軒家。


建てて、いい?(中島たい子 講談社)

建てて、いい?

建てて、いい?

  • 作者: 中島 たい子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/04/06
  • メディア: 単行本


初出は「群像」。
三十代独身女性が、アパート階段から転げ落ち、心機一転を心に誓う。
従妹の運営する輸入品通販会社で働くが、センスが人と違う。
行動派の従妹の主導で、まずは恋人探しからとなるが、気乗りせず、
建築家と出会い、家を建てたいと思うように。

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木暮荘物語 [books]

クラフト・エヴィング商會の装幀。
この、積み木のような絵柄の表紙とタイトルから、ほわんとした話を想像した。

木暮荘物語(三浦しをん 祥伝社文庫)

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2014/10/10
  • メディア: 文庫


ほわんとはしている。殺人も推理もない連作短編集。
木暮荘を中心に、住人や周囲の人を主人公とした話が展開されていく。
小田急線世田谷代田駅から徒歩五分の相当古い木造アパート。
全七話。すべて、性に関する話というのが予想外だった。

第一話「シンプリーヘブン」の主人公は木暮荘203の住人、二十代女性。
学生時代から長く住み、住宅街の花屋で働いている。
三年間音信不通だったカメラマンの元恋人が唐突にやってきて、
現恋人と鉢合わせ、居座った元恋人と三人の奇妙な共同生活が始まる。

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水晶万年筆 [books]

七並びの日に、1000記事目。
年に一度会うかどうかという人に以前贈った本。


水晶万年筆(吉田篤弘 中公文庫)

水晶萬年筆 (中公文庫)

水晶萬年筆 (中公文庫)

  • 作者: 吉田 篤弘
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 文庫


デザインはもちろん、クラフト・エヴィング商會。
本文のフォントも好みで、読みやすい。
初出は朝日新聞社の小説トリッパーで、2005に同社から刊行され、
加筆修正して中公から出た、6話の短編集。
物語の人物に繋がりはないが、単行本タイトルは「十字路のあるところ」。
東京に実在する路地を元に書かれたものであると、あとがきにある。

一話目「雨を聴いた家」
記憶とSに流されるように移り住んだ、梯子橋という名のまち。
物書きの私は、車掌と呼ばれる大家のもとで暮らし始める。
何を商っているのかわからぬ店、謎の蛇口、町の底の甘い水。
うどん屋とカフェーの常連となり、消えた雨合羽屋の娘の噂を聞く。

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存在の美しい哀しみ [books]

旅に出る理由はいろいろある。
いろいろあるように、こじつける。
異母兄を探しに行った次は、異父兄。

存在の美しい哀しみ(小池真理子 文春文庫)

存在の美しい哀しみ (文春文庫)

存在の美しい哀しみ (文春文庫)

  • 作者: 小池 真理子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/02/08
  • メディア: 文庫


初出はオール讀物の短編集。それぞれ読み切りではあるが連作。
美しい観覧車の写っている表紙も、タイトルそのものも、お洒落。

第一章「プラハ逍遥」
母親が亡くなる前に話して聞かせた異父兄に会いに、プラハへ行く妹の話。
失恋もして、傷心旅行でもあるが、運よく兄を案内役に雇うことができる。
プラハ芸大でチェロを学び、住み着いている兄には何も知らせず、
観光客として美しいプラハの街をそぞろ歩き、そのまま別れる。

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まひるの月を追いかけて [books]

旅に出ます。
探さないでください。

と書き残して消えることへの憧れは、頭のどこかにいつもある。

まひるの月を追いかけて(恩田陸 文春文庫)

まひるの月を追いかけて (文春文庫)

まひるの月を追いかけて (文春文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05/01
  • メディア: 文庫


「恩田ワールド全開のミステリーロードノベル」と、裏表紙に書いてある。
ほとんど交流のなかった異母兄が失踪したと聞き、その元恋人と旅に出る。
兄の仕事関連の手がかりを元に、行き先は奈良。
大和路を、観光コースに沿って歩いていく女二人旅。

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リラ冷えの街 [books]

リラの咲く頃、急に気温が下がることを、リラ冷えと呼ぶ。
その言葉を世に広めたのがこの物語、と知ってから、6月に読むと決めていた。
のに、図書館になかなか置かれておらず、じりじりしていた。
ここ数日異様に寒い(最高15℃くらい)ので、ぴったり。

リラ冷えの街(渡辺淳一 河出書房新社)

リラ冷えの街

リラ冷えの街

  • 作者: 渡辺 淳一
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1987/03
  • メディア: 単行本


北海道新聞日曜版に1970年7月から半年連載されたもの。
単行本は1987年発行。定価980円、などと印刷されている。
リラ、すなわちライラックを思わせる薄紫色の表紙(アマゾンの画像はおかしい)。
ほぼ半世紀前の、札幌を舞台にした物語。

羽田空港の十九時十分発の札幌行に乗るために、午後七時に着いた主人公有津。
搭乗受付でシート番号を受け取る、という仕組みがもう、よくわからない。
電光掲示板などではなく、すべて手動だったらしい時代を冒頭から感じる。
空席待ちで呼び出される女性の名前に覚えがある。彼女は有津の隣に座った。

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オレンジの壺 上下 [books]

同じタイミングで似たような本を読んでいると言われた。
気持ち悪いくらい、他にも色々と似てしまう妙な友。
ここには読んだ順ではなく、記事の繋がりをでっち上げて載せているのだけれど。
縁というのは不思議なもので。

友が決して読まないだろうこの本は、ナポリンの色繋がり、ということに。
オレンジの壺 上下(宮本輝 光文社文庫)

オレンジの壺 上  光文社文庫 み 21-2

オレンジの壺 上 光文社文庫 み 21-2

  • 作者: 宮本 輝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 文庫



オレンジの壺 下  光文社文庫 み 21-3

オレンジの壺 下 光文社文庫 み 21-3

  • 作者: 宮本 輝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 文庫


表紙はどちらもオレンジだが、上巻はしなびて古そうな暗い色。
下巻は花まで咲いていて皮も厚く未熟そうな明るい色。この差は一体。

上巻は第六章まで。
夏の夕方、父親に急に呼び出される25歳の佐和子。
六人兄妹の末っ子で、なんとなく結婚したが一年で離婚したばかり。
「女としての魅力も、人間としての味わいも、まったく皆無だ」
という、別れぎわの元夫の言葉が忘れられずに落ち込んでいる。

祖父の築いた会社を発展させた父の閃きで、商売を始めろと言われて困惑する。
そこで、長らく忘れていた祖父の日記を思い出す佐和子。
軽井沢の別荘で日記を読み始め、パリ訪問の内容に興味を覚える。
祖父の昔の手紙も見つけるが、フランス語で読めない。

 何が、私を魅力のない、面白くも何ともない女にしているのだろう?
(「第三章 手紙」より)

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しあわせのねだん [books]

前記事の本で、そういや最近読んでないなと思った作家。

しあわせのねだん(角田光代 新潮文庫)

しあわせのねだん (新潮文庫)

しあわせのねだん (新潮文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/02
  • メディア: 文庫


目次にはずらずらと、ものの値段が書いてある。
昼めし 977円から始まる23話とあとがき、さらに
文庫版あとがきにかえて ソファテーブル30数万円で終わる。
ものの価値を主題にしたエッセイ集。

角田さんという作家のイメージをいえるほど作品を知らないけれども、
読みやすくわかりやすく、多作で売れっ子の割と若い人、と思っている。
とりたてて思い入れのある作家ではないので、エッセイも怖くない。
作品から得たイメージをぶち壊される心配がない。
読み終わり、とても気が合うとまではいかずとも、
好き嫌いで言えば好きで、親しみを感じる作家らしい。

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