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昼メシの丸かじり [books]

前記事で自分が本当に撮りたかったのは、羊。
道民が昼メシによく食べるのは、羊?

昼メシの丸かじり(東海林さだお 文春文庫)

昼メシの丸かじり (文春文庫)

昼メシの丸かじり (文春文庫)

  • 作者: 東海林 さだお
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/06/10
  • メディア: 文庫


初出は週刊朝日2000年2月~11月。
解説の室井滋さんはキャンセルした飛行機のかわりに乗った、
特急はくたかの車内で読んでイライラを宥めたとある。
確かに、このエッセイで怒りを育むことはできない。

ほろ酔いで食べる屋台の磯辺巻き。
その旨さを再現すべく、自分で餅を焼いてみるところの描写が楽しい。

 網にのせたばかりの餅は硬い。
 生涯わたしはこの硬さで通します、と宣言しているかのように硬い。表情もきわめて固い。網の上で全員青ざめた表情でピクリとも動かない。
(『磯辺巻きのクラクラ』より)

混雑する店で視線を気にして食べるけんちん『うどん屋の地獄』
一匹一匹に私情を生めない『しらす干しのある生活』
最後に食べに行く『衝撃!食堂車廃止』
いくら好きでも五センチが限界という『バンザイ厚切りトースト』
さんざん探し回って食べる『懐かしの肉団子』
ラーメンの上が一番偉そうな『チャーシューの”行く春”』

コンビニの立ち読みから広まった『ブックカフェちゃ何だべ?』
本拠地のない食べ物『カイワレをいじめるな』
いつの間にか人気になっていた『青椒肉絲讃』
仕事で追い込まれると読んでしまう『宅配チラシの魔力』
どうやって飲むのがうまいか考える『水飲めば……』
堕ちていく快感を味わえる『ヤキソバパンの悦楽』

一口目が肉か玉ネギか気になる『串カツの内部事情』
まだあったのかと感動している『懐かしやキャラメル』
活き造りに挑戦して吸盤に悶絶する『皿の上でタコくねる』
立ち食いそば屋で突然同じものと気づく『きつねそばと稲荷ずし』
最初の一口が最大の魅力という『ソフトクリームの夢』
ラーメンより暗い食べ物とする『つけめん小王』

インド人のように手で食べてみる『カレーをめぐる冒険』
チェーン店であれこれ後悔する『「天丼屋のオバチャンは……」』
生活感があり疲れているように見える『チクワ天讃江』
一万円を食べに行く『360kcalのフランス料理フルコース』
飲んでみたいと思い立って作る『ツユダボの冷やし中華』
規律のゆるい食べ物『暑いのにタンメン』
チマチマした食べ方に抵抗のある食べ物も登場。

 大体、果物を棍棒でひっぱたこうなんて考えはどう考えてもふつうじゃないが、西瓜に限ってはそういう考えを人間に起こさせるものがある。
 果物界のバーバリアン。
(『西瓜はカットで』より)

おびえながら食べさせられる『久しぶりの機内食』
飽きずに食べられると絶賛する『鰻の「ひつまぶし」』
何よりもツユが旨いと賞賛する『鴨南天国』
スプーンですくうだけで多くを望まない『黙想のチキンライス』
一体何を考えているのか、よそよそしくつきあう『キウイは答えず』
スペイン旅行ですっかりかぶれた『オリーブオイル賛歌』
全員そろって頭が禿げて好もしい衣かつぎの『子芋かわいや』

一目惚れした蕎麦屋の天丼を食べに行くことを、見合いと称す話。

 仲人にうながされて重箱のフタを取った。
 いた。
 三人も。
 お見合いの相手が三人もいて、しかも三人ともすでに横たわっている。
 すでに、という言い方に他意はない。とにかく三人とも、すでにあお向けに横たわっているのだ。
 甘からのタレの匂いが立ちのぼる。
 愛しのヒトビトは、ポッテリとタレ色に染まり、温かいゴハンの布団の上でなぜかグッタリしている。
(『「まつや」の天重海老三本!』より)

最後は名前の文学性に思いを馳せる『「がんも」「どき」ってどんな時?』
豆腐の母を想像したりと、食べ物を擬人化するのはお手の物。
どちらかというと印象の弱い食べ物をヒトに例えて愛でることが多い。
そうみれば確かに、と思わされ、面白味とおかしみが増す。

苦手に挑戦系は今作では少なく、好きなものを語るのが多め。
そのせいか、どんでん返しのような結論にはならずあっさりした筆運び。
読者をことさら意識しておらず、それが読みやすい。
当時はこれが流行だったのかと、ちょっとした時代差も感じられる。
星3つ。

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