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いかめしの丸かじり [books]

いかが不漁で、森町の有名駅弁も値上げしたとか。

いかめしの丸かじり(東海林さだお 文春文庫)

いかめしの丸かじり (文春文庫)

いかめしの丸かじり (文春文庫)

  • 作者: 東海林 さだお
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/01/04
  • メディア: 文庫


初出は週刊朝日2009年8月~2010年4月。
説明不要の食べ物エッセー。

様変わりした場所でも楽しい『じいさんビアガーデンにゆく』
どう食べ進めるかを考察する『オムライスの騒ぎ』
未知への挑戦『え?冷やしかつ丼?』
かじりつく喜びを堪能する『とうもろこしのザークジャキ』
ストローで飲むものが許せない『箱物ジュースのチューチュー』
蕎麦屋でいつ取り上げるか考える『箸はいつ?』
高級化への道が閉ざされている『B級の覇者ソース焼きそば』
居酒屋での会話に疑問をもつ『「まあまあ、ひとつ」』
わくわく出掛ける『島根物産館へ』
必ず頼んでしまう居酒屋の『タコぶつ噛み噛み考える』
飲食店で悩ましい『酌の問題』

ここまであまり同調できずにいたが、ふと笑えたのが稲荷ずし。
太巻きなどの豪華さと比べて労り、ヤドカリと似ているとまとめる。


 それに比べて稲荷ずしのほうは、何かを詰め込まれた茶色くてしわくちゃのずた袋が放っておかれているように見える。
 報われないやつ、と、しみじみ思う。
 不憫、という気もする。
(中略)
 こんど稲荷ずしを食べるとき、ちょっとめくってのぞき込んでみてください。
 すっかりくつろいで、安心しきってひそんでいるゴハンを発見することになるでしょう。
(「稲荷ずしはヤドカリだ」より)

大きさから構成に至るまでじっくり考え『シュウマイを愁う』
ティファニーの朝食に対抗し『ファミレスで晩酌を』
鍋物の具材として君臨する食べ物『春菊のほうは事件にならないのか』
ずっと気にしていた店で『変わる変わるよおでんは変わる』
政権交代後に国会図書館で食べる『「新国会丼」発見!』

醤油と味噌のいいとこどりを思いつく『ラーメン大革命』
二回目の登場『蛸の足の「しまった」』
久々に食べて懐かしい想いに浸る『飴のひととき』
解体工事と似ているカレーライスとは違った『たまにはキーマカレー』
和食器と民族性を考える『身も蓋もある話』

じーっと見ているのが好きという『ナマコよ、ナマコ』
コシが騒がれるものとは別の『安心うどん伊勢うどん』
昔のCMでヒットした『柴漬食べたい』
パン食の雑然とした感じが気に食わない話で、再び笑う。
おにぎりの形状を褒めたたえている。


 梅干しを仕舞い、鮭を仕舞い、ちらかりがちなおかかもきちんと仕舞ってある。
 見た目のよくないグジャグジャしたツナマヨも、人目のつかないところへ押し込んである。
 そうした心づかいこそ、わが米民族の慎み深いところ、奥ゆかしいところなのだ。
(『迫力の肉巻きおにぎり』より)

コラーゲンボールを目指して連れていかれる『おやじと美肌鍋』
熱々ではない姿を初めて見てショックを受ける『キンレイ「鍋焼うどん」』
先っぽのもっこりに齧りつく『おいしいよ、アメリカンドッグ』
一個では足りないと主張する『スキヤキに於ける生卵の立場』
人気の秘密を考える『いかめしの秘密』

久米島で見つけて気恥ずかしくなる『四角いおにぎり見ィつけた』
三回目の登場『蛸さん鍋となる』
この本で一番うなずけたのが、レバニラ炒めの絶賛ぶり。
レバ刺しも好きだが、出てきたときの姿が暗いと嘆く。


 小皿に載っていかにも、内臓を切り取りました、という姿で出てくる。
 そこのところに暗い出来事を感じる。
(中略)
 そこいくとレバニラ炒めは明るい。
 なにしろ湯気がモーモーと上がっていて元気はつらつ。
 ニラの緑色が健康的だ。
(『わが愛するレバーよ』より)

最後は、家で食べるために早起きして作る『懐かしの海苔だけ海苔弁』
アルマイトの弁当箱を新聞紙で包み、机の上で時々揺らす、という徹底ぶり。
何事についても、曖昧に、まあいいかでは終わらせないのは、いつも通り。
そこまで考えないよな、ふつう、と思わせるのがプロたる所以。お見事。

自分と好みが違ったり、同じでも食べ方が違ったりすることが今作は多く、
いやいやと心中で突っ込みながら、あっという間に読み終わった。
羊羹を両手で持ち、真ん中から齧りついたらうまいだろうかと、
まったく明後日の方向へ自分の思考が飛んでいくのもまた楽しい。
星3つ。

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