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忘れ物が届きます [books]

札幌あたりは今日から二学期。
夏の終わりに、子どもっぽい表紙の本。

忘れ物が届きます(大崎梢 光文社)

忘れ物が届きます

忘れ物が届きます

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/04/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


なんともファンタジックな表紙絵。
初出は「ジャーロ」三篇、「小説宝石」一篇、書下ろし一遍。
相互関係のない推理系短編集。

『沙羅の実』
知らずに訪れた顧客が小学校の先生で、ずっと気にしていた話を聞かれる。
32歳の主人公が当時の友人を助ける打った偽装誘拐と、関連する殺人事件。
思い出話のように振り返り、先生は真相を導き出す。
家庭内暴力に対する子どもの目と、学校教師の目と、正義感まみれの会話。
いくら物覚えがよくても話の転がし方がうますぎて、何やら不自然。

『君の歌』
高校を卒業した日、足早に帰るところを、縁のなかった男子が追いかけてくる。
数か月前、居残り作業中にしていた中学時代の警察沙汰について、
どうしてもうやむやにしておきたくなかったと、当時を振り返り、
改めて謎を解いていく。実はその被害者の女子は主人公と親しい。
同級生の回想が異様に詳細で、高校生らしさの演出と噛み合わない。
リスの物音から真相に気付くのもメルヘンすぎる。

『雪の糸』
離婚を控え、最後に馴染みの喫茶店にきた男女の話を聞く女性。
思い出話で、一時間間違えていた電話から、職場先輩の妙な言葉にひっかかる。
腑に落ちない言動を、当時の状況を聞くことで推理する主人公。
先輩は二人の女性の間と、金銭的にも行き詰っていたらしいと判明する。
ヒントは桜と雪で、これまたロマンチックに都合よく情報が揃っていく。

『おとなりの』
十年前にあった近所の殺人事件に、息子が絡んでいるのではと蒸し返される。
定年間近の主人公は当時を知る人々の話を聞いて回るが、不安は消えない。
アリバイを証言してくれた隣家の妻と、息子のどちらが正しいのか。
これまた人々の記憶力は凄まじく、最終的には息子の友だち思いが災いしている。
何が何でもいい話に持っていきたいのか、やや苦しい動機。

『野バラの庭へ』
半世紀以上前の出来事を文章で残したいと依頼を受ける若い女性。
人里離れたお屋敷で、上品なお婆さんの話を聞きに通う。
消えてしまった女性の行方と、その裏の真実が思わせぶりに語られていく。
すべては仕組まれた復讐であり、最後に大事な手紙を奪いに来た男を捕まえる。
仕組まれている、ということで話の展開が出来すぎているのはよしとしても、
やはりすべてが細かすぎて筋が入ってこない。
地の文で変に敬語を使い過ぎるのも読みづらい。

全編通して、会話が説明になっており、それもまた細かくて面倒になってくる。
長い年月で思いが整理されているのかもしれないが、いくらこれが小説とはいえ、
登場人物の記憶力は常軌を逸している。
こんなに過去を覚えていたら堪らないとも思う。
違和感ばかりが先行して物語に集中できない自分に腹が立って仕方がない。
星2つ。

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