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八月の路上に捨てる [books]

この数時間で猛烈に腫れてきた。
右目のまぶたが、勝手に半分ほど閉じてしまう、お岩さん状態。
痒くも痛くもないが、視界が狭くて不快。
8月に入って怪我ばかり。

八月の路上に捨てる(伊藤たかみ 文藝春秋)

八月の路上に捨てる

八月の路上に捨てる

  • 作者: 伊藤 たかみ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/08/26
  • メディア: 単行本


自動販売機に缶飲料を補充してまわる、ルートドライバーが主人公。
コンビを組んできて、八月一杯でトラックを降りて異動する女性と、
最後の一日を走りつつ会話を重ねる物語。

子持ちで離婚経験のある先輩女性は男勝りで、年下の主人公にあれこれ言う。
主人公もまた、妻との離婚を決めて翌日届けを出す予定。
大学時代、互いの夢に惹かれ合い結婚したはいいが、現実は厳しく、
思いがすれ違っていく。その過程を思い出しながら話が進む。


ヒステリックな言動が増えていく妻から逃れ、浮気に走るものの、
関係が悪化するほど妻のことを考えてしまう。
本気になれば人は無様になると、先輩女性は言う。


「そんな生やさしいもんじゃないよ。本気って、違う。その人を好きとか嫌いとかもわからなくなる。ものすごく怒ってるかもしれなくてさ、相手の心までずたずたにしてやりたくなって。そう、だから命までって言ったのか。自分の生活なんてどうでもよくなって、あたしもあいつも全部まとめて消えたっていいってぐらいの気持ちになる」


最後、彼女が再婚するらしいことを知る。
その後ろ姿を見送り、小石を蹴りたくなるというくだりは子どもっぽい。
夢を諦めた先の幸せも信じようとしている、青臭い主人公。
何やら意味深な言葉が多い先輩女性も、達観しているとまではいかない。
仕事をしながらの会話という距離感がちょうどよく本音を引き出すらしい。
短い物語で、深刻になり過ぎない。

『貝からみる風景』という、さらに短い話も併録。
音信の途絶えがちな父親を心配しつつ、鬱陶しくもある男。
妻なのかわからない同居人の女のほうと、同じことを考えているようになった。

他者との距離を重視する作家らしい。
寂しがりな男の弱さが面倒臭い、芥川賞受賞作。
星2つ。


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