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どうぶつたちの贈り物 [books]

何を読んでも、ぴんとこない。
読書スランプ中。
子どもらは夏休みに入ったときく。
読書感想文という宿題は、今もあるのだろうか。
見た目は子どもっぽいが、内容はそうでもなかったこちら。

どうぶつたちの贈り物(小川洋子ほか PHP研究所)

どうぶつたちの贈り物

どうぶつたちの贈り物

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/01/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


名前に動物が隠れている作家たちのアンソロジー。
作中にそれぞれの動物を登場させている。

東川篤哉『馬の耳に殺人』
房総半島の田舎町で、乗馬クラブの人間の死体が発見される。
深夜に馬に乗っていた目撃情報もあり、落とされた事故とされそうになる。
近所の牧場の女子高生も現場に出くわし事情を聞かれる。
と、そこで飼っている馬が喋り出し、その推理で殺人事件として解決する。

関西弁を喋る馬といい、聞き込みの巡査といい、何やらノリが軽い。
浮気が原因の痴話殺人で、面白おかしくちゃっちゃと書いたという雰囲気。


白河三兎『幸運の足跡を追って』
母子家庭で占い師の母親が急に不在となり、残されたニート娘が占いを引き継ぐ。
母が匿っていたフランス人の美男子を助手にして依頼人の話を聞く。
飼っていた兎の行方を探すことになり、二人で推理を組み立てていくが、
フランス人らしい考え方が的を得ていて面白い。
兎を食べる文化を頭から拒絶する主人公には日本の歴史も教える。

〈(略)何はともあれ、自国のことも満足に知らない麻里に他国の文化を否定する資格はない。無知なら、ただただ異文化に敬意を払いたまえ。〉


鹿島田真希『キョンちゃん』
登山が趣味の親友を、女友だちに頼まれた合コンに誘う男子学生。
ヒトも動物も同等にみなす変人だが、話していて退屈しない。
鹿のお告げを聞いたという話から、実は互いを想っていることがわかる。
全体に、なんだかよくわからない。

似鳥鶏『蹴る鶏の夏休み』
新聞のネタ探しに、白いカラスの真相を突き止めようとする男子高生。
同級生宅で目撃されたカラスだが、取材に行くと狂暴な鶏に攻撃される。
鳥などの生態に異様に詳しい主人公の発案でカメラを置き、
白いカラスの理由が判明するが、ついでに人間の泥棒も捕まえて一大事に。

動物好きのイメージが強い似鳥さんらしい話。
最初に騒然とする事件現場を描き、話を遡らせる展開も読書欲を煽る。
注釈を適宜いれていく書き方も健在で、ニヤリ。


小川洋子『黒子羊はどこへ』
冒頭から、他とは違う雰囲気に圧倒される。ベテランの空気。
難破船から流されてきた羊二頭を飼うことにした寡婦。
冬を越え、黒い子羊が生まれるが、村人からは不吉とされてしまう。
しかし子どもたちは興味を持って近づいてきて、いつしか託児所になる。
天性の才能で子どもたちと親しくなる寡婦は、風変わりな話を聞かせる。

巣立っていった子どものことを思ったり、物言わぬ羊を眺めたり、
寡婦は終始寡黙で、台詞もほとんどない。羊のように静かな話。
子どもが知らぬ間に成長してしまう寂しさと愛しさが淡々と描かれる。
観光客に手を振られる場面で、子どもたちの思いにぎょっとする。


 まるで僕たちを愛しているかのようじゃないか。子どもたちはますます躍起になる。だから『子羊の園』の子らは皆、このささやかな、たった十数秒の土曜日の習慣をいつも楽しみに待っている。


最後の寡婦の葬列でも、子どもたちは無邪気にはしゃいでいる。
忌み恐れていた大人たちはしかつめらしく暗い顔をしているが、
その嘘っぽさといったら。滑稽ですらある。
てんで別の位置にある羊の離れた目は、何を見ていたのか。
はっきりとは書かれないことが、ずしっと重く伝わってくる。

作家たちの力量差と自分の好みが歴然とわかる本。
星3つ。

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