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フェルメールの暗号 [books]

検索したら出てきた、似たようなタイトルの、児童書。

フェルメールの暗号
(ブルー・バリエット著 ブレット・ヘルキスト絵 種田紫訳 ソニー・マガジンズ)

フェルメールの暗号

フェルメールの暗号

  • 作者: ブルー バリエット
  • 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本


エドガー賞受賞の話題のYAミステリー!と、見返しに書いてある。
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞の、ヤングアダルト向けミステリー。
一応児童書に分類され、半分ほどの漢字にルビが振ってあるが、
アダルトが読んでも子どもっぽさに閉口したりはしない内容。

原題はChasing Vermeer
主人公はシカゴ大学付属学校6年生の男子と女子、二人。
男子はパズルが好きで、ペントミノという12個のピースからなるものを
常にポケットに持ち歩き、その象徴のアルファベットをおみくじのように使う。
女子は美術や本が好きで、いつも何かしら考え事をしている。

二人の担任は風変わりな女性で、生徒たちに独特の授業をする。
家にあるアートなものについて書いてくる、という宿題が出て、
男子は昔から持っている絵のついた箱を、女子は古書店で見つけた本を選ぶ。
箱の絵はフェルメールのレプリカで、本の元持ち主の家に同じものがある。
それを見つけた男子は、女子にその偶然を話し、二人は急速に親しくなる。

本の持ち主だった気難しい老婦人にフェルメールのことを教わり、
興味を持って調べていくうちに、その絵が貸出搬送中に盗難にあう。
犯人から、贋作についてが示唆され、世界中の人が美術に関心を向ける。
また、3人の協力者を選び手紙を送っていることも明らかになる。
老婦人や担任教師の言動に不審を持った主人公二人は調査を始め、
学校のどこかに絵が隠されているのではと確信するようになる。

転校していった友人から聞いた、カエルというあだ名の子の失踪。
本に書かれていた、蛙が空から降ってきたという出来事。
結局物語の筋には無関係だが、本文挿絵にも暗号があり、そのヒントが蛙。
これと、ペントミノのアルファベットの組み合わせで単語ができる仕掛け。
メモ用紙を片手に読み進めなければならず、面倒で愉快。

フェルメールの絵に描かれている様々なモチーフも、暗号に見えてくる。
謎の多い画家の背景を思い浮かべ、現実の謎にも挑戦していく二人。
12月12日に12歳になるという設定など、できすぎではあるが、
そういう偶然の重なりに興奮してのめり込んでいく様は児童書らしい雰囲気。
M&Mの青チョコを秘密のシンボルフードにしたり、ココアで一息ついたり、
嘘も方便で大人たちを騙したりする大胆さもすべて、子どもらしい。
夢で見たものや、ペントミノから得るインスピレーションを元にするあたり、
大人が主人公だと胡散臭いと思ってしまうかもしれない。

単なる偶然、と片付けない子ども主人公の好奇心が眩しい。
絵を見つけてからもひと騒動あり、畳み掛けるように出来事の繋がりが明かされる。
何が偶然で何が仕掛けだったのか、物語全体をもう一度吟味させられる。
一気に読まないとついていけない、暗号まみれの本。
頭の体操にもなる。

フェルメールの真贋の謎や、盗難騒ぎなどは事実でもある。
専門家の言葉がいつも正しいとは限らないと、挑発してくれる。
こんなに不明点が多い作家だからこそ、人を惹きつけるのか。
誰かが素晴らしいというから、そう思わされているだけかもしれない。
本当に、自分の感覚で接しているか、という自問もできるし、
画家のおかれた環境を知ったほうがよく理解できるのも嘘ではない、とも思う。
ペントミノのように、物事の見方は何通りもあって、どれも正しい。
星4つ。

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