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お召し上がりは容疑者から [books]

よくない通知が連日舞い込み、意気消沈。
寒いと思ったら雪まで降ってきて。

お召し上がりは容疑者から(似鳥鶏 幻冬舎文庫)

パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)

パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2013/09/04
  • メディア: 文庫


パティシエの秘密推理とあり、ケーキと拳銃をのせたトレイを持つ男が立つ
絵本のような表紙をみれば、どういう感じか予想はつく。
ので、読まずにいたが、似鳥さんファンとなったので借りることに。

舞台はビル街にある煉瓦の三角屋根、喫茶プリエール。
一人称の俺は亡き父のあとを継ぎ、弟がケーキ類を作っている。
おっとりして端正な顔立ちの弟は元警部で、推理の才能を認められていた。
後輩で県警秘書室にいる女性巡査、直ちゃんが復帰をくどきに通ってきて、
連れ戻さないかわりに兄も巻き込んで事件解決に協力させるという展開。
動物園もののときと同様、作者本人の注釈が時々載っている。
動物のたとえも、ちょいちょい出てくる。


 直ちゃんはコーヒーとミルフイユが出てくると黙り、無言でサクサクと食べ始めた。そうしてはむはむしている姿はリスのようだ。
「ミルフィーユって好きなんスけど、フォークで分けようとするとぐちゃっていくのが玉に瑕なんスよねえ。ミルフィーユ用のダイヤモンドカッターとか、置いてないんスか?」
(略)
 直ちゃんはパイ生地からはみ出したクリームをフォークで指し示した。「そのかわり頭がこんな感じになってたみたいっスけど」
「やめてよ。・・・それとそれ、横に倒した方が切り分けやすくない?」
「あっ、なるほど!」直ちゃんは素直に言われた通りにした。「あっ、分けられる!すごい!コロ卵(4)っスよ!」
:(4)「コロンブスの卵」の意。
(「第1話 喪服の女王陛下のために」より)


辺鄙な岬で、相手の心変わりを邪推した英国留学中の女学生が恋人を突き飛ばす。
相談にきたと見せかけて、本人が犯人だと弟は当てる。
その関係者として弁護士の卵の女性が常連に加わる。
話の終りに、弟が作ったケーキの説明も書かれる。
第1話はヴィクトリアン・サンドウィッチケーキ。

第2話 スフレの時間が教えてくれる
1話の弁護士が担当する殺人事件に知恵を貸し、被害者と父親の関係まで見抜く。
第3話 星空と死者のタルト
お盆休みに直ちゃんの親戚が放置している山のログハウスへでかけると、
先住農家とニュータウン住人との諍いを目撃し、さらに近所で殺人が起こる。
調査される側ではあるが、身分を偽り独自に聞き込み犯人を割り出す。
名物桃を使ったタルトで両者の歩み寄りまで図る。
どうやら想い合っているらしい弟と弁護士だが、なかなか近付かない。
密かに弁護士の過去を調べていた直ちゃんが、相談を促す。

第4話 最後は、甘い解決を
母親を銃殺された弁護士は、世話になっていた近所の女性が犯人とわかり、
自ら復讐として彼女を銃殺してしまった過去をもつ。
関係者たちへの出張聞き込みにも行き、それらを当ててしまう弟は、
弁護士の好物、モンブランを作って送り出す。
弟の幼少期の話も織り込まれ、兄弟愛も滲み出されるが、とってつけたよう。

弟は脳内で推理を重ねる探偵役。やや影が薄い。
あらゆるセッティングをする直ちゃんのサバサバした有能さと、
仕方なく動いて情報収集する俺の人のよさが、助手として名コンビ。
どこか謎めく新米弁護士が、ほのかな恋要素も提供するが、雰囲気は暗い。
トリックよりも心理に訴えるものばかりで、謎解きの楽しさは弱い。
ケーキや紅茶なども頻出するが、描写はあまり惹かれない。

元警部をいいように使う、組織の思惑なども書かれるものの、
全体的に無理が多い、もしくはベタな感じが拭えない。
動物園シリーズの印象が強すぎるだけに、地味にも思える。
これを先に読んでいたら、この作家を好きにはならなかったかもしれない。
星2つ。
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